1級土木施工管理技士は、建設業法にもとづく1級土木施工管理技術検定の第二次検定に合格すると名乗れる国家資格です。土木一式工事などの対応する工事で、監理技術者・主任技術者等の資格要件に関係します。第一次検定に合格した段階では「1級土木施工管理技士補」になります。
令和8年度(2026年度)の第一次検定は7月5日に行われ、合格率は49.8%(受検50,012人・合格24,927人)でした。第二次検定は2026年10月4日(日)、合格発表は2027年1月8日(金)です。この記事では、実施機関の全国建設研修センターと国土交通省の公表資料をもとに、できること、受検資格、試験の形式、日程と申し込み方法、令和3年度からの合格率、解答と合格発表の確認先、年収の見方を整理します。
この記事の要点
- 1級は、対応する土木工事で監理技術者・主任技術者等の資格要件に関係します。実際の配置には工事内容・実務経験・雇用関係・専任要件などの確認が必要です。
- 令和6年度から、第一次検定は受検年度末時点で19歳以上なら学歴・実務経験を問わず受検できます。第二次検定は第一次合格後の実務経験などで受けます(令和10年度までは旧受検資格も選べます)。
- 合格率は、第一次が令和7年度43.1%→令和8年度49.8%、第二次が令和6年度41.2%→令和7年度38.9%です。年度によって変わります。
- 第一次検定の試験問題と正答肢は実施機関が公表しますが、第二次検定の解答は公表されません。
1級土木施工管理技士で何ができるか
1級土木施工管理技士は、対応する土木工事で監理技術者・主任技術者等の資格要件に関係します。ただし、資格を持つだけで個別の工事への配置が決まるわけではありません。
監理技術者・主任技術者との関係
国土交通省の「よくある問合せ(技術者制度)」(令和8年2月26日時点)によると、建設業者は請負代金の大小や元請・下請にかかわらず、請け負った工事に主任技術者を置く必要があります。発注者から直接請け負った工事で、下請契約の請負代金の合計が5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上になる場合は、主任技術者に代えて監理技術者を置きます。
どの業種の工事で監理技術者・主任技術者になり得るかは、国土交通省の「建設業法における配置技術者となり得る国家資格等一覧」で確認できます。実際に配置されるには、担当する工事の種類、実務経験、雇用関係、専任の要否などの条件を満たす必要があります。土木分野の仕事の全体像は土木施工管理とは、1級と2級をまとめた資格の概要は土木施工管理技士(1級・2級)で整理しています。
技士補と監理技術者補佐
第一次検定に合格すると「1級土木施工管理技士補」、第二次検定に合格すると「1級土木施工管理技士」と称することができます。技士補の資格は令和3年(2021年)4月1日に始まりました(国土交通省)。
監理技術者の専任が必要な工事でも、工事現場ごとに監理技術者補佐を専任で置けば、同じ監理技術者が2つの工事現場を兼務できる特例(専任特例2号)があります。国土交通省によると、監理技術者補佐になれるのは、請け負った工事の種類に係る主任技術者の資格を持つ人のうち1級の第一次検定に合格した人(工事の種類ごとに指定された検定種別に限る)などです。技士補であることだけでは要件を満たさない点に注意してください。技士補の位置づけは施工管理技士補の解説でも扱います。
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受検資格(令和6年度改正後と経過措置)
令和6年度から、第一次検定は年齢だけで受けられ、実務経験は第二次検定で問われる形に変わりました。令和8年度の第一次検定は「令和8年度中における年齢が19歳以上の者(平成20年4月1日に生まれた者も含む)」が対象です(全国建設研修センター)。
第二次検定の新受検資格
令和8年度の受検の手引では、第二次検定のみを受ける場合の区分が次のように示されています。
2級第二次検定の合格者は、2級合格後の実務経験5年以上(特定実務経験1年以上を含めば3年以上)があれば、第一次検定と第二次検定を同じ年に受ける「第一次検定・第二次検定」でも申し込めます。2級の内容は2級土木施工管理技士で整理しています。
特定実務経験とは、建設業法の適用を受ける請負金額4,500万円(税込)以上の工事で、監理技術者・主任技術者(監理技術者資格者証を持つ人)の指導の下で行った、または自ら監理技術者・主任技術者として行った土木施工管理の経験です。発注者側の経験などは認められません。監理技術者補佐としての経験は、1級第一次検定の合格後に専任で配置されたものに限られ、申込時に施工体制台帳のアップロードが必要です。
実務経験として認められる工事
実務経験は、施工計画の作成や工程・品質・安全管理など、工事の施工管理に直接関わる技術上の職務経験を指し、補助者としての経験も含みます。受検の手引では、対象の建設工事を土木一式、とび・土工・コンクリート、石、鋼構造物、舗装、しゅんせつ、塗装、水道施設、解体の各工事としています。受注者としての施工管理のほか、発注者側での監督や工事監理業務の経験も対象です。
旧受検資格と経過措置
令和6年度から令和10年度までは経過措置期間で、第二次検定は新受検資格と旧受検資格のどちらでも受検できます。旧受検資格は学歴ごとの卒業後の実務経験で判断する仕組みで、たとえば大学の指定学科なら卒業後3年以上、高校の指定学科なら卒業後10年以上です。いずれも1年以上の指導監督的実務経験を含む必要があります。旧受検資格での新規申込は書面で、申込用紙は1部1,000円です。自分のケースの当てはめ方は施工管理技士の受検資格もあわせて確認してください。
試験の形式(第一次検定・第二次検定)
第一次検定はマークシート方式、第二次検定は記述式です。令和8年度の受検の手引と合格発表資料による内容は次のとおりです。
第一次検定は午前と午後に分かれ、午前だけの受検は欠席扱いになります。応用能力の基準があるため、総得点が6割を超えても施工管理法(応用能力)で基準に届かなければ不合格です。
全国建設研修センターは、令和6年度以降の試験問題の見直しを告知しています。第一次検定には土質工学・構造力学・水理学の分野が加わり、第二次検定は「幅広い視点から経験を確認する設問」に変わりました。令和5年度以前の問題で練習するときは、この違いを意識してください。
令和8年度の日程・申込期間・受検手数料
令和8年度の第二次検定は2026年10月4日(日)、合格発表は2027年1月8日(金)です。申込受付は4月6日で締め切られています。
受検手数料は第一次検定12,000円・第二次検定12,000円(いずれも非課税)で、インターネット申込では別に事務手続手数料250円がかかります。試験地は、第一次が札幌・釧路・青森・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・岡山・広島・高松・福岡・鹿児島・那覇の14地区、第二次は鹿児島を除く13地区です。
令和8年度の日程は、国土交通省が令和7年12月18日付で公示しました。次年度の日程は、公示後に国土交通省と全国建設研修センターの案内で確認してください。他の種目の発表日もまとめて見たい場合は施工管理技術検定の合格発表日と確認方法が参考になります。
合格率の推移(令和3〜8年度)
令和3年度以降、第一次検定の合格率は43.1〜60.6%、第二次検定は28.7〜41.2%の範囲で推移しています。数値は全国建設研修センターの合格発表資料によるものです。
※令和3・4年度の受検者数は、公表資料の「出席者数」です。令和5年度の数値は、令和6・7年度の発表資料に前年度比較として載っている値です。
令和6年度は受検資格の改正で、第一次検定の受検者が51,193人になりました。令和5年度の32,931人から18,262人の増加です。令和8年度の第一次検定では女性の合格者が3,494人となり、全国建設研修センターは過去最高と発表しています。
令和7年度の第二次検定の受検者24,667人の内訳は、同じ年に第一次検定に合格して続けて受けた人が7,176人、第二次検定のみの人が17,491人でした。合格率は年度で変わるため、受検前に実施機関の最新の公表値を確認してください。他の種目との比較は施工管理技士の合格率一覧、土木の難易度の見方は土木施工管理技士の難易度・合格率で解説しています。
難易度と勉強の進め方
第一次検定は「総得点6割」と「応用能力6割」の二つの基準、第二次検定は記述式で得点6割が合格ラインです。勉強時間の公的な目安はありません。必要な時間は実務経験や得意分野で変わるため、この記事では一律の時間数を示しません。
- 第一次検定:解答する70問のうち42問以上に加え、施工管理法(応用能力)15問のうち9問以上が必要です。応用能力の対策を後回しにすると、総得点が足りても不合格になり得ます。
- 公式に確認できる過去問:全国建設研修センターは、第一次検定の試験問題と正答肢を、第二次検定は試験問題のみを、それぞれ1年間ホームページで公表しています。それより前の年度は市販の問題集などで補うことになります。
- 第二次検定:記述式で、不合格者には評定B(得点40%以上・合格基準未満)またはC(40%未満)が通知されます。担当した工事の内容、自分の立場、工程や品質で判断したことを具体的に書けるよう準備します。
- スケジュール:令和8年度は第一次の合格発表(8月13日)から第二次(10月4日)まで52日でした。同じ年に両方を受ける人は、第一次の前から第二次の記述対策にも手をつけておくと、この期間を仕上げに使えます。
過去問の使い方は施工管理技士の過去問・勉強法で詳しく説明しています。
申し込み方法
申し込みは受検資格の区分によって方法が変わり、新受検資格と第一次検定のみはインターネットで行います。全国建設研修センターの令和8年度の案内をもとに整理します。
- 受検資格の区分を決める。申込後に検定区分や新・旧の区分は変更できません。
- 住民票コード(11桁。マイナンバーとは別の番号)と顔写真データ(JPEG)を用意する。
- 新受検資格で第二次検定を受ける場合は、個人ページに実務経験を登録し、証明者の証明を受けておく。
- 申込期間内に入力し、クレジットカードかコンビニで手数料を支払う。コンビニ払いは締切の3日前まで選べます。
「第一次検定のみ」で申し込むと、その年度の第二次検定は受けられません。同じ年に両方を受けたい人は「第一次検定・第二次検定」で申し込みます。第一次検定に合格した人は、以降は期間や回数の制限なく第二次検定から受検できます。
解答速報・合格発表の確認先
正式な試験問題・正答肢・合格者は、全国建設研修センターのホームページで確認します。令和8年度の予定は次のとおりです。
民間の「解答速報」に載る第二次検定の解答は、実施機関の公表ではありません。記述式で解答も公表されないため、自己採点は目安にとどめてください。結果通知書が1月15日(金)を過ぎても届かない場合は、本人が全国建設研修センター土木試験課に問い合わせます。合格者は、通知に同封される申請書で国土交通省に合格証明書の交付を申請します(2027年2月下旬以降に発送予定)。自己採点の注意点は施工管理技士の解答速報でもまとめています。
年収の考え方
1級土木施工管理技士だけの平均年収を示す公的統計はありません。参考になるのは、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の職種区分「土木技術者」です。
この値は資格別ではなく、1級の有無や施工管理の担当かどうかを区別していません。年換算は編集部の試算です。実際の給与は、資格手当の有無・金額、担当する工事、勤務地、残業時間などで変わります。求人票と会社の規程で内訳を確認してください。確認の観点は土木施工管理の年収で整理しています。
資格を活かせる職場を探すときは、土木施工管理の求人を見るから条件を確認できます。
よくある質問
1級土木施工管理技士の合格率はどのくらいですか?
全国建設研修センターの公表では、令和8年度の第一次検定が49.8%、令和7年度の第二次検定が38.9%でした。令和3年度以降、第一次は43.1〜60.6%、第二次は28.7〜41.2%の範囲で推移しています。受検前に最新の公表値を確認してください。
実務経験がなくても1級を受検できますか?
第一次検定は、受検年度末時点で19歳以上なら学歴・実務経験を問わず受検できます。合格すると1級土木施工管理技士補になります。第二次検定は、第一次検定合格後の実務経験5年以上などの要件を満たしてから受けます。
第二次検定の解答は公式に発表されますか?
発表されません。全国建設研修センターは第二次検定の試験問題を試験翌日の13時から1年間公表しますが、解答は公表しないと受検の手引で案内しています。第一次検定は試験問題と正答肢が公表されます。
令和8年度の第二次検定の合格発表はいつですか?
2027年1月8日(金)です。全国建設研修センターのホームページで合格者の受検番号が1月22日まで公表され、受検者には文書で結果が通知されます。
1級土木の申し込みはいつ、どうやって行いますか?
令和8年度の申込受付は2026年3月23日から4月6日まででした。第一次検定のみと新受検資格の申込はインターネット、旧受検資格の新規申込は書面です。次年度の日程は国土交通省の公示と全国建設研修センターの案内で確認してください。
1級を取ると年収は上がりますか?
一律の増額は示せません。賃金構造基本統計調査の「土木技術者」の値は資格別ではないため、資格手当の有無・金額や担当する工事の条件を求人票と会社規程で確認してください。