電気通信工事の施工管理だけを切り出した平均年収は、公的統計で独立して公表されていません。そのため、特定の年収レンジや資格取得による増額を一律の相場として断定することはできません。実際の年収は、仕事内容、会社規模、経験、役割、勤務地、残業・休日勤務、賞与、各種手当などで変わります。
この記事では、厚生労働省の賃金構造基本統計調査などの公式統計を参考にしながら、公的統計で分かること・分からないことと、求人票で確認すべき条件を整理します。
この記事の要点
- 電気通信施工管理だけの平均年収は、公的統計に独立区分がない
- 関連する建設技術者の年収は、令和6年(2024年)賃金統計で建築技術者 約642万円・土木技術者 約597万円。電気通信もこれに近い水準が一つの目安です。
- 資格手当の有無・金額・支給条件は会社規程により異なる
- 求人比較では仕事内容・勤務地・労働時間・給与内訳をそろえて確認する
電気通信施工管理の年収を調べる方法
電気通信施工管理は、通信設備工事の工程・品質・安全・原価などを管理する仕事です。ただし、公的統計では電気通信工事の施工管理だけを抽出できません。職種別統計は全体傾向の参考にし、実際の条件は複数の求人票と企業の募集要項で確認します。
求人を比較するときは、基本給、固定残業代、賞与実績、資格・現場・出張手当、転勤範囲、休日勤務を確認してください。施工管理全般の見方は施工管理の年収のページもあわせてご覧ください。
公式統計でみる関連技術者の年収水準
まず押さえたいのは、「会社の全社平均年収」と「職種としての年収」は別物だという点です。求人や企業の公表値には事務・営業を含む全社平均が混ざることが多く、施工管理という職種そのものの水準を知るには職種別の賃金統計が役立ちます。
厚生労働省の令和6年(2024年)賃金構造基本統計調査では、建設系の技術者について次の年収水準が示されています。電気通信工事の施工管理だけを切り出した数値は同調査に独立区分として公表されていないため、近い職種である建築・土木の技術者を目安として掲げます。
| 職種(令和6年) | きまって支給する現金給与(月額) | 年間賞与その他 | 年収換算の目安 |
|---|---|---|---|
| 建築技術者 | 約43.5万円 | 約120.0万円 | 約642万円 |
| 土木技術者 | 約40.5万円 | 約110.3万円 | 約597万円 |
| 測量技術者 | 約33.1万円 | 約104.0万円 | 約500万円前後 |
年収換算は「きまって支給する現金給与×12+年間賞与」で算出した目安です。ただし、上表は電気通信施工管理の平均値ではなく、資格別・級別の差も示していません。求人比較の参考線として使い、応募先の提示条件と混同しないことが重要です。
同じ設備系の電気施工管理の年収や管工事施工管理の年収を見る場合も、公的統計の区分と求人の職種名が一致するかを確認してください。
年代別・経験別の年収の目安
年代だけで年収は決まりません。経験年数、担当工事、役割、勤務先、勤務地、労働時間を分けて確認する必要があります。下表は金額ではなく、求人比較で確認したい役割の違いを整理したものです。
| 段階 | 確認したい条件 | 主な役割の例 |
|---|---|---|
| 未経験・補助 | 研修、固定残業代、担当業務 | 先輩の補助、書類・写真管理 |
| 現場担当 | 担当範囲、夜間工事、出張 | 工程・品質・安全管理 |
| 技術者配置候補 | 工事区分、資格・実務経験、専任要件 | 主任技術者・監理技術者等 |
| 管理職・所長候補 | 役職要件、部下・複数現場の管理 | 組織・現場の統括 |
未経験求人では、月給の額だけでなく、固定残業代の時間数、試用期間、賞与の算定対象、研修後の配属、夜間工事・出張の有無を確認してください。年代別の見方は施工管理の年収(年代別)で詳しく扱っています。
級・資格による違い
1級電気通信工事施工管理技士は監理技術者等、2級は主任技術者等の資格要件に関係します。ただし、資格取得だけで配置や年収が決まるわけではありません。工事区分、実務経験、会社規程、求人条件を確認してください。資格と年収の関係は1級・2級で年収はどう変わるかもご参照ください。
求人を見るときに確認したい工事分野
電気通信工事には、基地局、光ファイバー、データセンター、社内ネットワーク、防災通信など複数の分野があります。求人を見るときは、会社がどの工事を主に扱うのか、夜間・休日作業の有無、元請・下請の立場、担当範囲を確認してください。分野名だけで給与条件や働き方は判断できません。
加えて、電気通信工事施工管理技士は2019年(令和元年)に新設された比較的新しい国家資格です。保有者数や求人条件は地域・会社・工事分野で変わるため、資格の有無だけで提示額は決まりません。応募条件、資格手当、担当工事との関係を確認してください。資格の位置づけや受験対策は電気通信工事施工管理技士の解説をご覧ください。
給与条件を見直す3つの確認点
電気通信施工管理の給与条件を比較するときは、(1)資格と役割、(2)会社・工事分野、(3)候補求人との条件差を分けて確認します。年収アップ全般の確認項目は施工管理の年収を上げる方法にまとめています。
1. 1級電気通信工事施工管理技士を取得する
1級は、対応する工事で監理技術者等の資格要件に関係します。取得を検討するときは、希望する役割で必要か、第二次検定の実務経験を積めるか、会社が資格手当や取得支援を設けているかを確認してください。手当の確認方法は施工管理技士の資格手当で説明しています。
合格率は年度で変動します。直近の令和7年度(2025年度)1級電気通信工事施工管理技術検定は、第一次検定69.2%・第二次検定36.3%でした。前年の令和6年度(2024年度)は第一次40.5%・第二次40.9%で、年度差が大きい点に注意が必要です。合格率は受検前に必ず実施機関(全国建設研修センター)の最新公表値を確認してください。
| 区分・検定 | 令和7年度(2025) | 令和6年度(2024) |
|---|---|---|
| 1級 第一次 | 69.2% | 40.5% |
| 1級 第二次 | 36.3% | 40.9% |
| 2級 第二次 | 63.2% | 53.2% |
受検資格は令和6年度(2024年度)の制度改正で、1級の第一次検定は年度末時点で19歳以上であれば実務経験を問わず受検できるようになりました。実務経験は第二次検定で問われます。まず第一次検定の合格を目指し、第二次検定に必要な実務経験を積む流れが新制度での基本です。取得ルートは1級電気通信工事施工管理技士で詳しく解説しています。
2. 会社・分野を選ぶ
同じ仕事でも勤務先で年収は変わります。求人を見る際は、会社の全社平均年収だけでなく、施工管理職としての提示給与、資格手当、固定残業代、賞与、残業・休日勤務の扱いを確認してください。元請・下請、担当工事、転勤・出張の有無も条件差に影響します。残業や休日の実態は施工管理の残業時間もあわせて確認すると判断しやすくなります。
3. 候補求人と現在の条件を比較する
経験と1級資格を持っているのに給与条件に不満がある場合は、現在の給与内訳と候補求人を比較します。電気通信分野でも、提示額は会社、担当工事、役職、勤務地、労働時間、賞与、手当で変わります。転職を検討する際は、希望条件と現状の整理から始めるとミスマッチを防げます。進め方は施工管理の転職を参考にしてください。電気通信分野の求人は電気通信工事の求人特集から探せます。
よくある質問
電気通信施工管理の年収はいくらくらいですか?
電気通信施工管理だけを切り出した平均年収は、公的統計に独立区分がありません。関連職種の統計を参考にしつつ、複数の求人票で仕事内容・勤務地・労働時間・給与内訳を比較してください。
他の区分と比べて年収は高いですか低いですか?
電気通信施工管理だけの公的な平均値がないため、他区分より高い・低いとは断定できません。比較するときは、同じ仕事内容・勤務地・労働時間に条件をそろえてください。
1級を取ると年収はどれくらい上がりますか?
一律の増額は示せません。資格手当の有無・金額、取得後の役割、求人の提示条件を会社規程と求人票で確認してください。
未経験から電気通信施工管理に転職しても年収は上がりますか?
転職で年収が上がるとは限りません。未経験求人では、研修内容、配属後の業務、固定残業代、夜間工事・出張、資格取得支援、昇給条件を確認してください。
賃金統計の「全社平均年収」と職種の年収は同じですか?
違います。企業が公表する全社平均には事務・営業など他職種が含まれるため、施工管理という職種の実態とはずれることがあります。職種の水準を知りたいときは、厚生労働省の賃金構造基本統計調査の職種別データを参照するのが正確です。