1級電気通信工事施工管理技士は、光ファイバー・LAN・無線・モバイル基地局・データセンターなどの電気通信工事で、監理技術者・主任技術者等の資格要件に関係する国家資格です。技術検定としては2019年(令和元年度)に新設された区分です。実際に技術者として配置されるには、担当工事との対応、実務経験、雇用関係、監理技術者講習や資格者証など、配置区分に応じた条件の確認が必要です。
受検のハードルも下がっています。令和6年度(2024年度)の制度改正で、第一次検定はその年度末時点で19歳以上であれば学歴・実務経験を問わず受検可能になりました。この記事では、1級電気通信工事施工管理技士で何ができるか、受検資格、試験概要、令和6→7年度の合格率推移、勉強時間、取得メリットまでを公式データに基づいて整理します。
この記事の要点
- 1級は、対応する工事で監理技術者・主任技術者等の資格要件に関係する区分です。
- 第一次検定は令和6年度(2024年度)改正で19歳以上なら実務経験不問に。実務経験は第二次検定で問われます。
- 合格率(令和7年度)は第一次69.2%・第二次36.3%。記述式の第二次が関門で、第二次の難易度は年度で大きく動きます。
- 資格手当や求人での扱いは会社ごとに異なるため、給与規程と募集要項の確認が必要です。
1級電気通信工事施工管理技士で何ができるか
1級は、対応する電気通信工事で監理技術者・主任技術者等の資格要件に関係する資格です。技術検定は建設業法第27条に基づく国家資格ですが、合格だけで個別工事への配置が自動的に決まるわけではありません。実際の配置では、工事の種類、雇用関係、実務経験、監理技術者講習・資格者証など、役割に応じた条件を確認します。
元請が下請契約を結ぶ工事では、下請代金総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)になると、主任技術者ではなく監理技術者を置く必要があります。資格区分そのものの全体像は電気通信施工管理の解説記事、級ごとの違いを含めた検定の概要は電気通信工事施工管理技士の総合ガイドでも整理しています。
技士補・監理技術者補佐との関係
第一次検定に合格すると1級電気通信工事施工管理技士補の称号が得られます。技士補は令和3年(2021年)4月施行の制度改正で新設された称号で、第一次検定合格者を「技士補」、第二次検定合格者を「技士」と位置づけています(出典:国土交通省)。
当該工事の主任技術者の資格を持つ1級技士補など、法令上の要件を満たす人は監理技術者補佐として配置できる場合があります。監理技術者補佐を各工事に専任で配置することで、特例監理技術者が複数工事を兼務できる制度もありますが、兼務数や工事間距離などの条件があります。技士補の位置づけは施工管理技士の受検資格の記事でも詳しく解説しています。
受検資格(令和6年度改正後)
結論として、第一次検定は19歳以上であれば誰でも受検でき、実務経験は第二次検定で問われます。令和6年度(2024年度)の改正で、1級第一次検定は当該年度末時点で19歳以上なら学歴・実務経験を問わず受検可能になりました(施行日:令和6年4月1日/出典:国土交通省)。
第二次検定の受検資格は、第一次検定合格後に以下のいずれかを満たすことが必要です。
- 1級第一次検定合格後、実務経験5年以上
- 1級第一次検定合格後、特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上
- 1級第一次検定合格後、監理技術者補佐としての実務経験1年以上
ここでいう「特定実務経験」とは、請負金額4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の工事で、監理技術者・主任技術者の指導の下、または自ら監理技術者・主任技術者として行った経験を指します(出典:国土交通省)。
なお、令和6年度から令和10年度までは経過措置期間とされ、第二次検定は旧受検資格と新受検資格のどちらかを選択できます。すでに実務経験を積んでいる方は、従来要件で受検できる場合があります。受検資格の数え方や実務経験の対象範囲は施工管理技士の受験資格で、級による違いは1級と2級の違いの記事で確認してください。
試験概要(一次・二次の科目と日程)
電気通信工事施工管理技術検定は、土木や建築と同じく第一次検定(マークシート式)と第二次検定(記述式)の2段階で構成されます。実施機関は一般財団法人全国建設研修センターです。第一次検定は電気通信工学等・施工管理法・法規などの知識を問い、第二次検定は施工経験記述を含む記述式が中心で、ここが最大の山場になります。第一次・第二次に共通する出題分野や対策の考え方は一次検定・二次検定対策の記事にまとめています。
令和8年度(2026年度)の日程と受検手数料
令和8年度(2026年度)1級電気通信工事施工管理技術検定の日程と手数料は次のとおりです。申込はインターネット限定で、第一次が秋、第二次が初冬に実施されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| インターネット申込受付 | 令和8年5月7日(木)〜5月21日(木) |
| 第一次検定 | 令和8年9月6日(日) |
| 第一次合格発表 | 令和8年10月8日(木) |
| 第二次検定 | 令和8年12月6日(日) |
| 第二次合格発表 | 令和9年3月3日(水) |
| 受検手数料(第一次) | 14,300円(非課税) |
| 受検手数料(第二次) | 14,300円(非課税) |
※インターネット申込には別途、事務手続手数料250円(税込)がかかります。日程・手数料は実施機関の発表により変わる場合があるため、申込前に全国建設研修センターの最新情報を確認してください。区分横断の日程の見方は施工管理技士の試験日程の記事も参考になります。
合格率(令和6→7年度の推移)
結論として、第一次は通過しやすく、記述式の第二次が関門です。とくに第二次は年度によって合格率が大きく動くのが、新設区分ならではの特徴です。令和6年度(2024年度)と令和7年度(2025年度)の公表値は次のとおりです。
| 区分 | 令和6年度(2024) | 令和7年度(2025) |
|---|---|---|
| 第一次検定 合格率 | 40.5%(受検7,997人/合格3,240人) | 69.2%(受検8,616人/合格5,960人) |
| 第二次検定 合格率 | 40.9%(受検4,650人/合格1,904人) | 36.3%(受検5,435人/合格1,971人) |
第一次検定は令和6年度の40.5%から令和7年度は69.2%へと大きく上昇しました。一方、第二次検定は40.9%→36.3%と4割前後で推移しており、記述力が問われる第二次でつまずく人が多い傾向が読み取れます。合格率は年度により変動するため、受検前に必ず実施機関(全国建設研修センター)の最新公表値を確認してください。
参考までに、同じ全国建設研修センターが実施する近い区分の令和7年度第一次合格率は、1級管工事が38.7%でした。電気通信の第一次が69.2%と高めに出た年でも、第二次は他区分と同様に油断できない水準です。区分をまたいだ合格率の比較は施工管理技士の難易度・合格率の記事、土木との比較は土木施工管理技士の難易度の記事でも扱っています。2級との比較は2級電気通信工事施工管理技士の記事をご覧ください。
難易度と勉強時間の目安
難易度は1級>2級、検定段階では記述式の第二次>マーク式の第一次というのが基本構図です。第一次は過去問の反復で得点しやすく、合格基準は得点率6割程度が目安とされます。電気通信は新設区分のため過去問の蓄積が他区分より少なく、出題の幅をつかみにくい面はありますが、回数を重ねるごとに過去問の母数は増えています。
勉強時間は実務経験や得意分野で変わりますが、1級は第一次対策に数か月、第二次の記述準備に1〜2か月程度を見ておくと現実的です。働きながらであれば、1日30分〜1時間のスキマ学習を試験日の3〜4か月前から積み上げる進め方が定番です。第二次は施工経験記述が中心になるため、自分の現場経験を工程・品質・安全の観点で2〜3パターン整理しておくことが合否を分けます。具体的な学習法は施工管理技士の過去問・勉強法の記事を参考にしてください。
取得後の扱い(配置・手当・求人)
1級電気通信工事施工管理技士は、対応する工事で監理技術者等の資格要件を確認するときに使われます。ただし、厚生労働省の賃金構造基本統計調査には「1級電気通信工事施工管理技士」だけの賃金区分はなく、資格だけによる年収差を公的統計から示すことはできません。電気通信施工管理の年収情報の確認方法は電気通信施工管理の年収の記事、施工管理全体の相場は施工管理の年収の記事で整理しています。
資格手当は会社ごとに有無・金額・対象区分・支給条件が異なります。級による一律の年収差は示せないため、給与規程と求人票を確認してください。確認方法は1級・2級で年収がどう変わるかの記事で詳しく扱っています。
求人では、資格の有無に加えて、担当可能な工事、施工管理経験、雇用条件、勤務地、労働時間などが評価されます。監理技術者や営業所技術者等としての配置を想定する求人では、資格以外の要件も募集企業に確認してください。具体的な求人を探すなら電気通信工事の施工管理求人を、未経験から目指す場合は未経験向けの求人も合わせてご覧ください。
よくある質問
1級電気通信工事施工管理技士は2級と何が違いますか。
1級は対応する工事で監理技術者・主任技術者等、2級は主任技術者等の資格要件に関係します。実際の配置や営業所技術者等としての扱いには、担当工事、実務経験、雇用関係など別の条件もあります。詳しくは2級の記事と1級と2級の違いの記事をご覧ください。
実務経験がなくても1級を受検できますか。
第一次検定は受検できます。令和6年度(2024年度)改正で、第一次検定はその年度末時点で19歳以上であれば学歴・実務経験を問わず受検可能になりました。ただし第二次検定は第一次合格後に所定の実務経験(5年以上など)が必要です。詳しい要件は施工管理技士の受験資格の記事で確認できます。
合格率はどのくらいですか。
令和7年度(2025年度)は第一次69.2%・第二次36.3%、令和6年度(2024年度)は第一次40.5%・第二次40.9%でした。記述式の第二次が関門で、年度により変動するため、受検前に全国建設研修センターの最新公表値を必ず確認してください。
難しい資格ですか。勉強時間の目安は。
難易度は1級>2級、第二次(記述)>第一次(マーク)が基本です。1級は第一次対策に数か月、第二次の記述準備に1〜2か月程度を見ておくとよいでしょう。第二次は施工経験記述が中心のため、自分の現場経験を工程・品質・安全の観点で整理しておくことが重要です。学習法は過去問・勉強法の記事を参考にしてください。
取得すると将来性はありますか。
通信設備工事の需要や求人条件は、地域・工事分野・発注状況により変わります。資格が求人の必須・歓迎条件になっているか、どの配置を想定しているかは、個別の募集要項で確認してください。求人は電気通信工事の施工管理求人から確認できます。