1級建築施工管理技士は、対応する建築工事で監理技術者・主任技術者等の資格要件に関係する国家資格です。下請代金の総額が8,000万円以上になる建築一式工事の元請工事では、主任技術者ではなく監理技術者を置く必要があります。実際の配置には、担当工事、実務経験、雇用関係、講習・資格者証など、役割に応じた条件の確認が必要です。
この記事では、令和7年度(2025年度)までの公式合格率、令和6年度(2024年度)の制度改正後の受検資格、令和8年度(2026年度)の試験日程・受検手数料、必要な勉強時間、そして年収・手当・転職市場での価値までを、実施機関と公的統計の数値にもとづいて整理します。資格全体の概要は建築施工管理技士(1級・2級総合)、建築分野の仕事像は建築施工管理の仕事もあわせてご覧ください。
この記事の要点
- 1級建築施工管理技士は、対応する工事で監理技術者・主任技術者等の資格要件に関係します。
- 令和7年度(2025年度)の合格率は第一次検定48.5%・第二次検定39.0%。前年の令和6年度(2024年度)は第一次36.2%・第二次40.8%で、年度により変動します。
- 令和6年度(2024年度)の改正で第一次検定は19歳以上なら実務経験不問で受検でき、実務経験は第二次検定で問われる仕組みになりました。
- 勉強時間、資格手当、求人での扱いは個人・会社ごとに異なるため、受検計画と会社規程を確認します。
1級建築施工管理技士で何ができるか
1級建築施工管理技士は、建築工事の監理技術者・主任技術者等の資格要件に関係します。技術検定は建設業法にもとづく国家資格ですが、資格だけで個別工事への配置が自動的に決まるわけではありません。
監理技術者を設置すべき工事は、下請代金の総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)の元請工事です。これ以外の元請工事や下請工事には主任技術者を配置します。つまり、大型の建築一式工事を元請として動かす現場では、1級資格者である監理技術者の存在が欠かせません。2級との役割分担の詳細は2級建築施工管理技士、級全般の比較は施工管理の1級と2級の違いで解説しています。
営業所技術者等との関係
営業所技術者等としての扱いは、許可業種、一般・特定の区分、常勤性などの要件を確認する必要があります。1級施工管理技士であることだけで建設業許可の要件を満たすとは限らないため、建設業許可の手引や行政窓口で確認してください。
技士補・監理技術者補佐との関係
技術検定では、第一次検定の合格者に「1級建築施工管理技士補」、第二次検定の合格者に「1級建築施工管理技士」の称号が与えられます。技士補は令和3年(2021年)4月1日に新設された資格で、第一次・第二次検定の再編にあわせて設けられました。
1級技士補が監理技術者補佐になるには、その工事における主任技術者の資格要件を満たすことなど、別の条件が必要です。監理技術者補佐を各工事に専任で配置することで、特例監理技術者が複数工事を兼務できる制度もありますが、対象工事や配置方法などの条件を確認する必要があります。技士補の位置づけは施工管理技士の受検資格もあわせてご確認ください。
一級建築士との違い
1級建築施工管理技士と一級建築士は、まったく別の国家資格です。一級建築士は建築物の「設計」と「工事監理」を行う資格で、所管は国土交通省(建築士法)です。これに対し1級建築施工管理技士は、設計図にもとづいて現場の工程・品質・原価・安全を管理する「施工」側の資格で、技術検定(建設業法)にもとづきます。
ざっくり言えば、一級建築士は「どう建てるかを描く」、1級建築施工管理技士は「描かれたものを現場で実現する」役割分担です。両者は対立するものではなく、設計と施工の両輪として補完し合います。施工管理のキャリアを志すなら、まず取得すべきは1級建築施工管理技士です。
受検資格(令和6年度改正後)
令和6年度(2024年度)の制度改正で、1級の受検資格は大きく緩和されました。第一次検定は、当該年度末時点で19歳以上であれば学歴・実務経験を問わず受検可能です(施行日:令和6年4月1日)。従来は学歴ごとに長い実務経験が求められていたため、若手や未経験者でも早い段階で第一次に挑戦できるようになったのは大きな変化です。
一方、実務経験は第二次検定で問われます。1級第二次検定の受検には、第一次検定合格後に「実務経験5年以上」「特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上」「監理技術者補佐としての実務経験1年以上」のいずれか等を満たす必要があります。
ここでいう特定実務経験とは、請負金額4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の建設工事で、監理技術者・主任技術者の指導の下、または自ら監理技術者・主任技術者として行った経験を指します。なお、令和6年度から令和10年度(2028年度)までは経過措置期間とされ、第二次検定は旧受検資格と新受検資格のどちらかを選択できます。改正の全体像と実務経験の数え方は施工管理技士の受験資格で詳しく整理しています。
試験概要(一次・二次の科目・形式・日程・手数料)
1級建築施工管理技術検定は、第一次検定(マーク式)と第二次検定(記述式)の2段階で行われます。第一次検定は工学的な知識・施工管理法・法規を問うマークシート方式、第二次検定は実際の現場経験を記述する経験記述などを含む記述式が中心で、ここでつまずく受検者が多いのが特徴です。出題分野や対策の進め方は施工管理の一次検定・二次検定対策、過去問の使い方は施工管理の過去問・勉強法を参考にしてください。
令和8年度(2026年度)の日程
令和8年度(2026年度)1級建築施工管理技術検定の日程は以下のとおりです。申込はインターネット申請が中心で、申込期間は短いため早めの準備が肝心です。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 申込受付 | 令和8年2月13日(金)〜2月27日(金) (第一次検定のみの申請はインターネット限定で4月7日(火)まで) |
| 第一次検定 | 令和8年7月19日(日) |
| 第一次合格発表 | 令和8年8月25日(火) |
| 第二次検定 | 令和8年10月18日(日) |
| 第二次合格発表 | 令和9年1月8日(金) |
受検手数料は第一次検定12,300円・第二次検定12,300円(いずれも非課税)です。区分横断での日程・申込の流れは施工管理技士の試験日程・申し込み方法でも確認できます。
合格率(令和6→7年度の推移)
1級建築施工管理技術検定の合格率は、第一次・第二次とも年度により大きく変動します。令和7年度(2025年度)は第一次48.5%・第二次39.0%でしたが、前年の令和6年度(2024年度)は第一次36.2%・第二次40.8%でした。第一次は年度差が大きく、第二次は記述式のため例年4割前後で推移する傾向があります。
| 年度 | 検定 | 受検者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和6年度(2024) | 第一次 | 37,651人 | 13,624人 | 36.2% |
| 令和6年度(2024) | 第二次 | 14,816人 | 6,042人 | 40.8% |
| 令和7年度(2025) | 第一次 | 41,812人 | 20,294人 | 48.5% |
| 令和7年度(2025) | 第二次 | 18,160人 | 7,091人 | 39.0% |
※令和7年度第一次検定の数値には、令和8年1月25日実施の臨時試験の結果を含みます(本試験は令和7年7月20日実施)。合格率は年度により変動するため、受検前に必ず実施機関(建設業振興基金)の最新公表値を確認してください。区分をまたいだ合格率の比較は施工管理技士の難易度・合格率に整理しています。
難易度と勉強時間
1級建築施工管理技士の難易度は2級より高く、特に記述式の第二次検定が山場です。第一次検定は知識を問うマーク式で過去問演習が効きやすい一方、第二次検定は自分の現場経験を採点者に伝わる文章で記述する力が必要で、ここで差がつきます。
合格までの勉強時間の目安はおおむね150〜300時間です(2級は約100〜150時間)。実務経験や得意分野により幅がありますが、働きながら取得する人が大半のため、試験日の3〜4か月前から1日30分〜1時間のスキマ学習を積み上げるイメージです。第一次対策に2〜3か月、第二次の記述準備に1〜2か月を充てる配分が現実的です。
第一次検定の合格基準は得点率60%程度が目安(年度・区分で調整あり)で、過去問は最低3〜5年分を3周するのが定石です。第二次検定の経験記述は、工程・品質・安全の3テーマで2〜3パターンを事前に用意しておくと当日対応しやすくなります。具体的な学習法は施工管理の過去問・勉強法を、難易度の全体像は施工管理技士の難易度・合格率を参照してください。
取得後に確認すること(手当・求人条件)
1級建築施工管理技士は、対応する建築工事で監理技術者等の資格要件に関係する資格です。厚生労働省の令和6年(2024年)賃金構造基本統計調査によると、建築技術者(男女計・企業規模10人以上)の年収はきまって支給する現金給与額の年換算と年間賞与を合わせておおむね642万円でした。ただし、これは1級資格だけの効果を示す数値ではありません。
資格手当は法律で一律に定められた制度ではなく、有無・金額・対象区分・支給条件は会社規程により異なります。実際の配置や求人での扱いも、工事内容、実務経験、雇用関係などで変わります。手当の確認方法は施工管理技士の資格手当・将来性、建築分野の年収の見方は建築施工管理の年収で詳しく扱っています。
大手では年収水準がさらに高く、有価証券報告書(2025年3月期)の単体平均年収を見ると、大和ハウス工業が約991万円、長谷工コーポレーションが約1,057万円、大東建託が約917万円となっています(全社平均であり職種・年齢で異なります)。1級資格は、こうした大手や元請への転職で評価される実務的な裏づけになります。建築の求人を具体的に見たい方は建築施工管理の求人一覧もご活用ください。
よくある質問
1級建築施工管理技士と2級建築施工管理技士の違いは何ですか?
最大の違いは、対応する建築工事で関係する技術者要件です。1級は監理技術者・主任技術者等、2級は主任技術者等の資格要件に関係します。実際の配置には工事内容、実務経験、雇用関係、専任要件などの確認が必要です。詳しくは2級建築施工管理技士と施工管理の1級と2級の違いをご覧ください。
実務経験がなくても1級を受検できますか?
第一次検定は、令和6年度(2024年度)の改正により19歳以上であれば学歴・実務経験を問わず受検できます。一方、第二次検定の受検には第一次合格後の実務経験(5年以上、または特定実務経験1年以上を含む3年以上など)が必要です。まず第一次に合格して「1級技士補」になり、実務経験を積んでから第二次に挑むのが新制度での標準ルートです。受検資格の詳細は施工管理技士の受験資格で解説しています。
1級建築施工管理技士の合格率はどのくらいですか?
令和7年度(2025年度)は第一次検定48.5%・第二次検定39.0%、前年の令和6年度(2024年度)は第一次36.2%・第二次40.8%でした。第一次は年度差が大きく、記述式の第二次は4割前後で推移しています。合格率は年度により変動するため、受検前に実施機関(建設業振興基金)の最新公表値を必ず確認してください。
1級建築施工管理技士と一級建築士はどちらを取るべきですか?
目指すキャリアによります。現場で工程・品質・安全を管理する施工管理を本業にするなら1級建築施工管理技士が関係します。設計や工事監理を担いたいなら一級建築士です。両者は別資格で役割も異なるため、担当したい業務と求人条件に合わせて選んでください。
1級を取ると年収はどのくらい上がりますか?
一律の増額は示せません。資格手当の有無・金額、取得後の役割、求人の提示条件を会社規程と求人票で確認してください。建築技術者の公的統計は資格別ではない点にも注意が必要です。年収の確認方法は建築施工管理の年収と施工管理技士の資格手当・将来性をご確認ください。