1級電気工事施工管理技士は、対応する電気設備工事で監理技術者・主任技術者等の資格要件に関係する国家資格です。実際の配置や営業所技術者等としての扱いには、担当工事、実務経験、雇用関係、講習・資格者証など、役割に応じた条件があります。この記事では、令和6年度(2024年度)の制度改正後の受検資格、令和6・7年度の合格率、令和8年度(2026年度)の試験日程・手数料、難易度と勉強時間を整理します。

電気工事施工管理技士という資格全体(1級・2級の違いや電気工事士との関係)を先に押さえたい方は、電気工事施工管理技士の総合解説もあわせてご覧ください。本記事は「1級」での価値とハードルに絞って深掘りします。

この記事の要点

  • 1級は、対応する電気工事で監理技術者・主任技術者等の資格要件に関係します。
  • 令和6年度(2024年度)改正で、1級の第一次検定はその年度に19歳以上なら学歴・実務経験を問わず受検可能に。実務経験は第二次検定で問う形へ。
  • 合格率は令和7年度(2025年度)が第一次41.5%・第二次69.6%。前年(令和6年度)は第一次36.7%・第二次49.6%で、年度により変動します。
  • 第一次合格で「1級電気工事施工管理技士補」となります。監理技術者補佐になるには別の条件があります。

1級電気工事施工管理技士でできること(2級・技士補との関係)

1級電気工事施工管理技士は、電気工事の監理技術者・主任技術者等の資格要件に関係します。建設業法上、元請として下請に出す金額の総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)の工事には監理技術者の配置が必要です。実際の配置では、資格以外の条件も確認します。1級と2級の役割の違いは施工管理技士の1級と2級の違いでも横断的に整理しています。

営業所技術者等としての扱いは、許可業種、一般・特定の区分、常勤性などの要件を確認する必要があります。資格だけで建設業許可の要件を満たすとは限らないため、建設業許可の手引や行政窓口で確認してください。

技士補と監理技術者補佐

第一次検定に合格すると「1級電気工事施工管理技士補」の称号が得られます(技士補制度は令和3年4月から)。対象工事における主任技術者の資格要件を満たす1級技士補など、法令上の条件を満たす人は監理技術者補佐として配置できる場合があります。監理技術者補佐を置くことで監理技術者が複数工事を兼務できる制度にも、対象工事や配置方法などの条件があります。詳細は施工管理技士の受検資格をご覧ください。

受検資格(令和6年度改正後)

令和6年度(2024年度)の改正で、1級の第一次検定は実務経験が一切不要になりました。受検年度の末時点で19歳以上であれば、学歴を問わず誰でも受検できます。実務経験は第二次検定の段階で問う仕組みに変わったため、若手のうちに第一次に合格して技士補になっておく戦略が取りやすくなっています。

第二次検定(合格すると1級電気工事施工管理技士)は、第一次検定合格後に次のいずれかの実務経験が必要です。

  • 第一次検定合格後、実務経験5年以上
  • 第一次検定合格後、特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上
  • 第一次検定合格後、監理技術者補佐としての実務経験1年以上

ここでいう「特定実務経験」とは、請負金額4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の工事で、監理技術者・主任技術者の指導の下、または自ら監理技術者・主任技術者として行った経験を指します。なお令和6年度から令和10年度(2028年度)までは経過措置期間で、第二次検定は旧受検資格と新受検資格を選択できるため、すでに長い実務経験がある方は従来要件で受検することも可能です。詳しい実務経験の数え方は施工管理技士の受験資格を確認してください。

試験概要(科目・形式・令和8年度日程・手数料)

1級電気工事施工管理技術検定は、第一次検定(マークシート方式)第二次検定(記述式中心)の2段階で、いずれも年1回の実施です。第一次検定は電気工学等・施工管理法・法規などの知識を問い、第二次検定は施工管理法を中心に、施工経験記述を含む記述式が出題されます。実施機関は一般財団法人建設業振興基金です。

令和8年度(2026年度)の日程と手数料は以下のとおりです。年度ごとに日程は変わるため、申込前に必ず実施機関の最新発表を確認してください。

項目第一次検定第二次検定
申込受付令和8年(2026年)2月13日~2月27日
※第一次のみインターネット申請は4月7日まで
試験日令和8年7月12日(日)令和8年10月18日(日)
合格発表令和8年8月25日(火)令和9年1月8日(金)
受検手数料(非課税)15,800円15,800円

申込手続きの全体像や他区分の日程との比較は施工管理技士の試験日程・申し込み方法、検定対策の進め方は第一次検定・第二次検定の対策もあわせてご覧ください。

合格率(令和6→7年度の推移)

1級電気工事施工管理技術検定の合格率は、第一次が4割前後、第二次は年度により5~7割で推移しています。令和7年度(2025年度)は第二次検定が69.6%と高めでしたが、前年の令和6年度(2024年度)は49.6%でした。第二次は記述式のため、年度の出題傾向によって振れ幅が大きい点に注意が必要です。

年度区分受検者数合格者数合格率
令和7年度(2025)第一次検定24,821人10,290人41.5%
令和7年度(2025)第二次検定9,494人6,607人69.6%
令和6年度(2024)第一次検定23,927人8,784人36.7%
令和6年度(2024)第二次検定8,250人4,093人49.6%

合格率は年度により変動するため、受検前に実施機関の最新公表値を確認してください。2級電気工事や他区分との比較を知りたい方は2級電気工事施工管理技士の解説施工管理技士の難易度・合格率を参照すると位置づけがつかめます。

難易度と勉強時間

1級電気工事施工管理技士の難易度は、施工管理技士全体のなかでも標準~やや高めです。難易度の構造は第二次(記述)>第一次(マーク)で、知識を問う第一次よりも、施工経験記述を含む第二次でつまずく人が出やすいのが特徴です。とはいえ第一次は過去問の反復で得点率6割程度を狙えるため、独学でも十分に届く水準です。

勉強時間の目安は、1級でおおむね150~300時間とされ、実務経験や得意分野で増減します。第一次対策に2~3か月、第二次の記述準備に1~2か月をみておくと無理がありません。第一次は過去問を3~5年分、最低3周反復するのが基本で、第二次は施工経験記述を2~3パターンあらかじめ用意しておくと安定します。学習法の詳細は施工管理技士の過去問・勉強法が参考になります。

項目第一次検定第二次検定
形式マークシート方式記述式中心(施工経験記述あり)
難易度の体感標準(過去問反復で対応)やや高い(記述で差がつく)
対策期間の目安2~3か月1~2か月
合格基準の目安得点率60%程度得点率60%程度

取得後に確認すること(手当・求人条件)

1級電気工事施工管理技士は、対応する電気工事で監理技術者等の資格要件に関係します。実際に担当できる工事や配置は、工事内容、実務経験、雇用関係、講習受講などの条件で決まります。取得後の手当・役割・求人での扱いも会社ごとに確認してください。

資格手当は法律で一律に定められた制度ではなく、有無・金額・対象区分・支給条件は会社規程により異なります。基本給や賞与との関係も含めた確認方法は施工管理技士の資格手当・将来性で解説しています。

年収面では、建設技術者全体の水準として、厚生労働省の令和6年(2024年)賃金構造基本統計調査では建築技術者の年収換算が約642万円、土木技術者で約597万円となっています(企業規模10人以上、男女計)。これは電気区分や1級資格だけの効果を示す数値ではありません。転職時は資格に加えて、担当工事、経験、勤務地、労働時間、給与内訳を比較してください。電気分野の年収の見方は電気施工管理の年収で詳しく扱っています。

キャリア全体としても、1級は監理技術者→現場所長→管理職といった上流への道を開きます。電気施工管理の仕事像をまだ固めきれていない方は電気施工管理の全体像から、求人を具体的に見たい方は電気の施工管理求人から探すとイメージがつかみやすいでしょう。

よくある質問

1級電気工事施工管理技士は未経験・若手でも目指せますか。

第一次検定はその年度に19歳以上であれば学歴・実務経験を問わず受検できるため、若手でも挑戦できます。まず第一次に合格して「1級電気工事施工管理技士補」となり、実務経験を積みながら第二次検定で1級技士を目指すのが現実的なルートです。未経験から電気施工管理を始める流れは電気施工管理の解説もご覧ください。

2級と1級ではどちらを先に取るべきですか。

令和6年度(2024年度)の改正で1級第一次も19歳以上で受検できるようになったため、必ずしも2級を経由する必要はありません。ただし2級は実務経験要件が短く先に主任技術者の資格要件に関係するため、早く現場を任されたい方は2級から、最終的に監理技術者を目指す方は1級を見据える、という考え方が一般的です。比較は2級電気工事施工管理技士1級と2級の違いを参考にしてください。

1級電気工事施工管理技術検定の合格率はどのくらいですか。

令和7年度(2025年度)は第一次検定41.5%・第二次検定69.6%でした。前年の令和6年度(2024年度)は第一次36.7%・第二次49.6%です。第二次は記述式のため年度による変動が大きいので、受検前に実施機関の最新公表値を確認してください。

令和8年度(2026年度)の試験はいつですか。

第一次検定が令和8年7月12日(日)、第二次検定が令和8年10月18日(日)です。申込受付は令和8年2月13日~2月27日で、受検手数料は第一次・第二次とも各15,800円(非課税)です。詳しくは施工管理技士の試験日程・申し込み方法をご覧ください。

1級を取ると年収はどのくらい上がりますか。

一律の増額は示せません。資格手当の有無・金額、取得後の役割、求人の提示条件を会社規程と求人票で確認してください。電気分野の年収の見方は電気施工管理の年収で確認できます。